2003/03/02
4年前、はじめてまともなパソコンを買った。まともなパソコンとは、キーボードとディスプレィとディスクドライブとシステムがくっついたやつのことで、それまではキーボードもディスプレィもHDDも別売りの変なメーカーの変なパソコンを「タマちゃん」と名づけもっぱら自宅で使用していたのだが、もっぱら持ち歩きに使うのは、官給品の型落ちのハンドヘルドPCだった。もっともモバイラだからといって、あっちこっちで電話のモジュラを探し回り電池の予備を大量に持ち歩くそのテの病的なヒトであったわけではない。業務の都合上、どうしても出先でコンピュータを使用する必要があり、どんなネットワークの物理的なトポロジにもくっつけることができて、電源の心配はないが、着実にそれぞれのロケーションで動いてくれる必要があるプロのハンドヘルドである。
とはいえ、宮仕えの身、そう簡単に官給品の裏ブタをこじ開け勝手に規格外のメモリを突っ込んだり、ハンダごて握り締めてハァハァやっているわけにいかない。一応総務が勝手に「固定資産」のシールを貼り付け、壊れてでも修理してでも、最新のOSで動くなら1クリック30秒のレスポンスであっても動くものは使えの5年償却で購入したり、リースされたシナモノばかりである。
これでは仕事にならん。
ということで、初めて買ったハンドヘルドがあのHチャンドラ、我が愛機「ドラちゃん」だったのである。
初めてウヒウヒと言いながら12万円で購入したドラちゃんは、その後、身長9ft、体重250lbはあろうかというアメリカンレスラーの目の前に突如姿を現し、「お前、トウシバのリブレットって知ってるか」と言わしめ、あちこちの客先のネットワークに現れては、仕事に活躍していたのだが、その寿命はいかにも短かった。何しろ筐体が弱い。アンコがぎっしり詰まった薄皮マンジュウのような筐体はいつもカバンの中に乱雑に突っ込まれて、京王線のラッシュに揉まれているうちに、あっちでポロリ、こっちでポロリ、特に電池の周りはすぐにヘタって、オーナーの得意技のひとつであるガムテープアートに変身していった。
いかにもP120じゃ非力だったし、600ドット表示じゃ必要なアプリケーションを使うのだけでも苦労した。こいつで本格的に「バッテリ利用」はついにやる機会がなかったな。
やがて、どうやっても3枚のPCカードスロットのいずれも、ネットワークカードをつっこんで5分以内にハングアップするようになり(今考えると熱こもってたんだろうな)即座に第一線を退いていったのである。
ということで安くていいのねぇかなぁと思っていた99年の終わり、ヨドバシカメラ新宿西口本店にバーゲンプライスで並んでいたのが、三洋のハンドヘルドである。結構薄型で、決して「業界最軽量」ではないが、そのボディにかかわらずPCカードが2枚入る。PCカード経由のFDドライブやCDドライブが主流の時代に今時貴重な専用I/Fの外付けスピンドル。しかも別売オプションじゃない。
もう、FDでもCDでも起動ディスクだったら何でも起動できるもんねのこの強力なレガシーな接続。おまけにGとHのキーの間には、オトコなら誰でもクリクリしたがる「乳首」つきだ。530CSといい、ドラちゃんといい、やっぱりポインティングデバイスはトラックポイントに限る。
しかも安い。
なんと、64Mメモリをおまけして128Mつんで、16万円ほど。溜め込んだポイント放出しまくって15万円。
まぁ、当時としちゃMMX266は寂しいし、液晶でかい割にはSVGA。でもドラちゃんがVGAだったんだから、まだ我慢できる。
それにしてもこのWinkey はひどかった。購入してすぐ、ウチ帰って電源入れてセットアップして再起動すると、なんと電源が入らない。電源を入れるとプシューと言ったっきりだ。いきなりだぞ。翌日、早速ヨドバシカメラで返品交換。3日間使用不可。一月ほど使っていると、今度は乳首が飛ぶ。どこをどうやってもカーソルが画面のはじっこを走る。ということで、今度はキーボード交換。3週間使用不可。
結構仕様は気に入っていたし、W98にPHSカードを突っ込んでピッチ繋げば、都内じゃどこでもメールが読めた。初めてヒモなしで仕事する快感。ところが3ヶ月ほど使っていると、いきなりサスペンドモードに入る。あれぇ?と思っていると充電していない。ACアダプタが冷たい。アダプタの故障だ。しかも急ぎの仕事をやっている最中だ。客先仕事で急遽デスクトップ一台送ってもらって仕事をこなす。3週間使用不可。
そのうち、バッテリに充電しなくなった。1年保障だ。バッテリ発注。二週間電源なしでは使えない。
そうこうしているうちに、メーカーの1年保障も終わり、いよいよハードディスクの換装の季節がやってきた。 IBM の 10Gb のディスクを購入して、マイクロドライバでコジコジやって、ディスク交換終わり。
ディスクも交換して、これからやっとここいつとの季節が始まるぜ、と思っていたら、わずか2ヶ月で、再びACアダプタ故障。すでに保障期間過ぎ、アダプタを − 随分懲りたからなぁ、2個 − 購入するために、ヨドバシカメラ行ったら
「いやぁ、もうサンヨーさん、パソコンやってないんですよー」
ばかもん、それがプロ(?)のヨドバシカメラの店員が言うことか。アルバイトじゃあんめぃ。
「マニュアルと一緒にサンヨーのサービスセンターの電話番号書いてある紙入ってますから、それ見てメーカーに直接修理依頼してくださいよぉ」
ということで、近くのサンヨーのサービスセンターを探して電話をかけたら、近所のパソコンショップから修理依頼をしてくれとのことだ。どうやら、「ヨドバシカメラ」は近所にないらしい。
仕方がないので近くのラオックスに修理を依頼して、交換用バッテリーとACアダプタ2個届くまで4週間。
つまりこいつはカバンに入っていた時間よりも、病院行っていた期間の方が長いんじゃないかというほど故障しまくりだった。
修理にいつまでかかるかもわからない(たって別に交換するところなんて何にもない、金払うからACアダプタさっさとよこせ)のだったら、仕事にならん。客先で早く仕事しろとせきたてられるくらいなら、さっさと別なPC買っちゃおうじゃないか。ということでDellのサイトに行ったらL200が \128,000 ! 安い。メモリを128に増やして、バッテリーも最初から大容量のでかいのが選べる。どうせBTOなら、電源だって2個買っちまう。ハンドヘルドPCも電源がなければ、カバンの中の邪魔者に過ぎないし、主役のPCがなければカバンの他の中身なんてどうせ脇役だ。みんな雑魚だ。
本体に、BTOでメモリ増やして、電源強化して、踏んでも蹴飛ばしても無償修理のプレミアムケアに3年払って18万円。
セレ400はちょっと悲しいものがあるし、今時こんなにごついボディデザインの癖に液晶モニタは悲しい800ドットのSVGA。ディスクは最初から10Gbだ。その代わり、CDのドライブは必携である。CDの中身を全部ディスクにコピーして.....なんて面倒な事考えるくらいなら、最初からCDのメディアとドライブ持ち歩いてやる。その代わり、持ち歩くデータはスリムにしなけりゃならない。ディスクだけはケチったけど、どうせ、ハンドヘルドなんて2年も持たないだろう。
ところが、こいつのCDドライブがゴッツイんだよな。まったく他のモデルのドッキングベィから引っぺがしてきたやつがそのまんま。スマートだとかスリムだとかという言葉とは縁がない。いかにも「じぇんじぇんコスト掛けてません」ってデザインだ。Dellのデザイナがトヨタに勤めたら、クラウンもセルシオもウィンカーのレバーはカローラと一緒だろうな。
CDとFDはレガシー接続。やっぱりノートはこれじゃなきゃな。間違ってもPCカードなんか使っちゃだめなのだ。しかも外部VGAもプリンタポートもシリアルポートも付いている。ご丁寧にもネットワークI/Fもオンボードだ。つまりちょいとした工夫次第でFD起動して、ネットワークに繋ぐことができてしまう。別に何も用意しなくても、ウチに帰ればナナオのモニタにつながる。
修理が秀逸だった。液晶のバックライトが壊れたときも電話つながるまで2日かかったが、翌日佐川が取りに来て、翌々日には修理完了だった。
しかも最初から大容量バッテリ、1gでも軽いほうがいいというのは素人の考えることだ。ぐっちゃぐっちゃに重くても、プロは使える機材を持ち歩くのだ。こいつのバッテリは、一個で東京駅から新幹線で岡崎まで電池が持った。やっぱり予備バッテリーも買って正解だ。
L200は初めて「使える」ハンドヘルドだった。何しろ今までの人生、モデル落ち寸前の激安PCばかり購入している。そうして1年ちょっとで「使い倒して」おしまいなんだけど、なんだかんだ言ってL200は2年近く酷使に耐えた。文字通り、「島謙作」の目と耳だ。それでも、こいつもそろそろ限界だ。ワンクリックのレスポンスがつらくなる。
ということで、再びDELL。今度はX400だ。今売ってる最新型、とは言え一年前のスペック。やっぱり予備バッテリーと予備電源を追加購入。メモリは最初から256追加の386。標準のCDはやめてDVD−CDRのコンボ、これで飛行機の中だろうが、新幹線の中だろうが、CD焼けて、DVDも見れる。ちょっと気に入らないがIEEE1934だ。iPodはつながるが、ついにFDは買わなかった。その代わり32Mのメモリスティックご成約プレゼント。でもPIII−800はやっぱり今のスタンダードじゃつらいよな。絶対シム4なんかはできないだろう。それで初めてXGA、やっぱりこれくらいサイズはほしいが、歳取るとこの文字小さくてよめねーぞ。まぁいい。こいつでマイクロソフトの極悪ワープロなんぞインストールせず、文書書きはやっぱりHPBだ。さすがに助四はつらくなってきたが、まだメインのメーラは助四のメッセンジャだ。それでもワープロで出してくれと客に言われりゃ仕方がない。職場に余分な金がなければ仕方がない。StarSuitを購入して突っ込んでいる。フォント化けるけど許してね。
客のネットワークに繋ぐ以上、危ないことはできない。だから安全には随分気を使っている。OE はもちろん IE だって使わない。LDAPを使いたいし、重いから助六は使わず Opera か助四だ。しっかりアンチウィルスしている。こいつで新宿の裏通りは歩かず、怪しいところには出入りしない。だからウィルスなんて見たことない。ところがついに出たんだな。勝手に持ち込みPC社内に繋ぐべからずの禁止令が。
いづれそうなるんだろうという予感はあったのだが、随分カイシャの中にいろいろな雑菌がはびこっているらしい。ダイアルアップも禁止されてしまい、許可されたコンピュータだけを繋げということだ。だからこいつで外からメールを送ることができなくなってしまった。そりゃそうだろう、システム担当者のすぐそばの上層部あたりで雑菌が入り込んだんだもの。
その代わり、外から繋げる場合はマシン名だとか、標準アンチウィルスを入れろと言って来た。どうも自宅のPCでWinMXでエロ画像を交換しているPCだとか、宇多田ひかるのmp3だとか、2ちゃんねるのキャッシュが詰まったワレモノが動くコンピュータなんかはおよびでないらしい。
「私有品をネットワークにつなぐ際は所定のコンピュータ名とアンチウィルスを入れ、私用の目的に使ってはならない」
冗談じゃない。「私用のために」わざわざ高い金払ってコンピュータ買ってモバイルしてんだ。
そんな奇麗ごと言っているコンピュータだったら、さっさと金払って支給しろってことだ。
こっちはたまたまカバンの中に入っている自分の「お楽しみ」に投資して仕事に使っているんだ。
やっぱりメールを読み書きする機械というヤツは、自然にメインマシンになっていく。自宅のPCなんて、臓物すっかり入れ替えて「何代目タマちゃん」か知らんけど、もっぱらCDだとかDVDなんかのリッピングと、ブラウザとDVD見るだけのマシンになっている。こないだシム4入れたら動くことは動くけど解像度ぼろぼろに落とさないことにはまともに動かない。ところで、こいつら古いノートマシン、退役させたら何に使おうか?