こないだ、山手線に乗ってぼんやり外を見ているとですね、なんだかすばやく過ぎて行ってしまって全然読めない横書きの看板があったんですよ。多分、そのビルに入っている何らかの会社の看板だったんだけど。
「あれ? 何て書いてあったんだろ」ってね。電車に乗っていたり、歩道を歩いていたりすると、時々見かけるんですよね、こういうの。トラック荷台に書かれた会社名だとかビルの壁面に書かれた会社の看板だとかので右から読むのか左から読ますのかよくわかんないのが。左右のデザインをあわせるためなんだろうけど、この横書き時代にわざわざトラックのボディのヨコッパラにヨコ書きの字をですね、右から読ますのね。で、結局よくわかんなく通り過ぎてしまうのね。あれ? なんて読むのかな?なんてね。
「(株)コメオツダルマ」
なぁーんてのがあると、思わず、「ありゃありゃ」ってのに続いて「ドキドキっ」って感じで胸が激しくトキメイて
「アレ、これ前株かな、後株かなぁ???????」
なぁんてねぇ。ひゃひゃひゃって笑いながら、思わず?マークが頭の中に七つか八つくらい「ぽっ!」って感じで点灯するんですね。そう、前株後株と言えば、まだ駆け出しでセールス兼任していたころ、セールスのイロハも知らないころなんだけど「おい、これ前株か?」なんて先輩に聞かれて社会の一般常識なんて全然知らずに「???」マークが3つくらい点灯したころを思い出しますねぇ。せめて「社会式株×○△」なんてのが付いていれば、
「ああ、これ右から読ませるんだ」ってわかるんだけど、省略するなよなぁ。(株)なんて2バイト文字はさぁ、機種依存文字なんだからさぁ、わざわざこの字を使ってメール送ってくるバカ見ると、
「逝ってこい」って気分になるんだけどね。よく車で行く客んところから帰る途中にあるんですよ。
「あいだのおこめ」
なんて米屋の自販機の縦書きの看板みつけちゃって、思わず
「プッ!」
なんて吹き出して、大学時代の自分の卒論の「大団円」を「ダイエンダン」と読んでしまったすばらしい自分の「思い込み」とうヤツを思い出して、よく月曜の朝にキオスクに並ぶ、オヤジ系の週刊誌の
「バカ女子アナ、びっくり発言集、こいつはまともな日本語が喋れない」なんてのを思い出しては、オレもヒトのことは笑えないよなぁ、なんて思うんですね。オレいったいこの日本でどうやって16年プラス1年も国語教育受けてきたんだろうってね。
なぁんのこたぁない、精神ばっかりはまだニキビ盛りの14歳のガキのクセして、動体視力が著しく落ちてきた中年に片足を突っ込み、そのうちの指先3本ばっかりをカンオケに突っ込みかけたヤツの繰言なのかも知れないんだけど。
よく、地下鉄なんかに乗っているとですね、ふと新聞から目を上げると、向かいに座ったOLさん。いいオンナだよなぁ、足綺麗だよなぁ、なんて見とれていると地下鉄がホームに滑り込む。するといきなりそのおネェサンの両目が左右に激しく動いているんですねぇ。必死に地下鉄の駅の壁の広告だとか、駅名なんかを読もうとしているのね。で、地下鉄がだんだんスピードを落とすとですね、おネェさんの目の動きも電車のスピードに合わせてユックリになるんだよなぁ、不思議とね。そうして、ちゃんと読めたらしくって、ふと手元に持っている文庫本なんかを再び読み出すのね。
笑っちゃいけないんだけどコメディだよな。
何しろホレ、一瞬の出来事でしょう。多分、オレも似たようなことしてるんだろうなぁ、ってね。
ときどきですね、そういったフクザツ系のカナモジ、もしくはヒラガナ系、あるいは助詞の一切入らない四文字熟語系の看板を見て、
「あれ?、これ右から読むのかな?」なんて、一瞬通り過ぎる文字列にびっくりして、結局何が書いてあるのかわかんないよなぁ、やっぱり、オレも年取ったのかなぁ。
右から読ますなよな。
「気さくなあの娘、目を閉じ閉じ」やばいよなぁ、電車の中で文庫本から目を離して看板なんか見つけちゃうと、遠くのモノにピント合わないんだよなぁ。